自動車整備業における在留資格【特定技能ビザ】の活用方法

特定技能 在留資格
監修・アルファサポート行政書士事務所

1 深刻な自動車整備業における人手不足

 

自動車整備分野は、自動車ユーザーからの委託に基づき自動車の点検整備を行うことにより、自動車の安全・環境性能の維持に係る基幹的役割を担い、我が国の国民生活に不可欠な分野です。

自動車整備分野における労働力需要は、自動車の保有台数が当面の間ほぼ横ばいで推移し、その点検整備の需要が減少する見込みがない一方、供給においては、自動車整備士を志す若者の減少に加え、高齢の自動車整備士の引退が始まりつつあり、平成29 年度における自動車整備分野の有効求人倍率は3.73 倍であるなど、深刻な人手不足の状態にあります。

地域的に見ると、自動車整備分野においては、その地域において保有されている自動車台数により需要が決まるため、例えば、自動車保有台数が多い愛知県及び埼玉県において自動車整備分野の有効求人倍率がそれぞれ8.35 倍及び6.08 倍である一方、自動車保有台数が少ない都道府県においても、例えば、富山県及び福井県において当該有効求人倍率がそれぞれ6.43 倍及び5.77 倍である等、深刻な人手不足が生じています。

 

2 特定技能2号が認められていない自動車整備業

 

自動車整備業は、特定技能1号の対象となりましたが、特定技能1号は日本での就労が通算5年に限定されています。したがって、他の就労ビザのように、外国人を長期にわたって例えば定年まで雇用するようなことはできませんので、外国人労働者がどんなに優秀であっても、「後継者」になってもらうことはできません。あくまでも日本人である就業者のサポート役にとどまります。

 

もし今後、自動車整備業が在留資格「特定技能2号」の対象になれば、2号は滞在に期限がありませんから、同じ外国人を長期にわたり雇用し後継者にすることもできますが、現在のところ2号の対象は建設業と造船業の二業種にとどまる予定で、自動車整備業は含まれていません。

 

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3 就労ビザとしての特定技能を申請する際の自動車整備業特有の事情

 

技能実習ビザは各自動車整備業者ではなく事業協同組合が入国管理局に対し申請しますが、特定技能ビザは各自動車整備業者が個別に入国管理局に申請をすることとなります。この場合、技能実習ビザにおいては事業協同組合の財務諸表の中身が問われるのに対して、特定技能ビザの場合は、各自動車整備業者の経営状況が審査対象となります。したがって、零細の自動車整備業者さんでは、入国管理局の審査に耐えられないケースがあるかもしれません。

特定技能ビザに限らず一般に、就労ビザは中小企業よりも上場企業など大企業の方が審査は通りやすいので、比較的慎重な申請が求められる業界となるでしょう。

 

4 自動車整備業技能実習から特定技能ビザへの移行

 

2018年11月現在、自動車整備業は技能実習2号の対象となっています。そして、この技能実習の修了者は、特定技能1号へ移行することができます。

そうすると、技能実習での3年と特定技能1号での5年、通算8年間、日本で自動車整備業に従事できることとなります。

 

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5 海外から自動車整備業従事者を特定技能ビザで招聘する

 

特定技能ビザが導入された直後の数年間は、自動車整備業技能実習生からの移行組が多くを占めるとみられていますが、その後、少しずつ海外から直接労働者を招聘することも行われるようになるでしょう。

この場合は、来日の前提として本国で技能試験に合格しなければなりませんが、政府は現在、数か国での実施を検討しています。特定技能1号は本来は技能実習とは関係のない就労ビザですから、本来労働者の国籍は問わないのですが、特定技能試験が当初この数か国でしか行われないということになると、海外から招へいする場合は事実上はこの数か国からの受入れが中心となるでしょう。

 

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6 採用時期をずらすことで労働力を継続的に確保する

自動車整備業は特定技能2号の対象業種ではないことから、5年後には必ず労働者が帰国します。それを見込んで時期をずらして複数名を雇用することで、継続的に労働力を確保することができます。

 

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7  自動車整備業分野における特定技能ビザの運用方針のポイント

 

以下では、2018年12月25日に閣議決定された「自動車整備分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」のポイントを解説します。

 

7-1  自動車整備業における受入上限人数について

自動車整備分野における特定技能ビザによる外国人就労者の受け入れ見込みは最大7千人で、これが上限となります。

政府の試算では、電気・電子情報関連産業分野では向こう5年間で1万3千人の人手不足が生じるため、7千人の受け入れではまだまだ足りないとの指摘もあり、事業者間で限られた外国人枠の奪い合いになる可能性が高いです。もし在留資格「特定技能」をもつ外国人従業員の雇用をお考えなのであれば、様子見されるよりも早めの着手が必要でしょう。

 

7-2  在留資格「特定技能1号」を取得できる自動車整備業における外国人の基準について

特定技能1号の在留資格を取得できる可能性がある者は、以下の試験の合格者又は自動車整備分野の第2号技能実習を終了した者

(1)技能試験  「自動車整備特定技能評価試験(仮称)」又は「自動車整備士技能検定試験3級」

(2)日本語試験 「日本語能力判定テスト(仮称)」又は「日本語能力試験(N4以上)」

 

【コメント】

「製造分野特定技能1号評価試験(仮称)」は、①機械加工、②金属プレス加工、③工場板金、④めっき、⑤仕上げ、⑥機械保全、⑦電子機器組立て、⑧電気機器組立て、⑨プリント配線板製造、⑩プラスチック成形、⑪塗装、⑫溶接、⑬工業包装の13分野に分かれています。

 

日本語能力試験はN5からN1までの5段階評価で、N4は下から2番目のレベルです。「基本的な日本語を理解することができる」レベルで、「日常的な場面で、ややゆっくりと話される会話であれば、内容がほぼ理解できる」レベルを指します。日本語学校に通っている留学生などであれば比較的簡単にクリアできるでしょう。

 

7-3  在留資格「特定技能1号」を取得した外国人がすることができる業務

在留資格「特定技能1号」の外国人が従事できる職務は、自動車の日常点検整備、定期点検整備、分解整備です。

 

 

7-4  特定技能1号をもつ外国人を雇用する形態

フルタイムの直接雇用に限られ、派遣会社からの派遣は受け入れできません。

 

7-4  特定技能1号をもつ外国人を雇用する会社に求められる条件

全産業に共通の条件の他、自動車整備業の会社(特定技能所属機関)に特に求められる主たる条件は以下のとおりです。

なお、全産業に共通の条件については特定技能ビザ・総論をご参照ください。

 

1 道路運送車両法に基づく、地方運輸局長の認証を受けた事業所であること

2 自動車整備特定技能協議会(仮称)の構成員になること

 

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