更新:2021年1月8日
行政書士 佐久間毅
1 国際結婚の婚姻届の提出先
・国際結婚も日本人同士の結婚と同様に、婚姻届は市区町村役場に提出します。
婚姻届の用紙も特別なものではなく、日本人同士の結婚で使用するものと同じです。ただし、書き方において国際結婚独自のルールがあります。
・外国人と結婚した日本人が「戸籍の筆頭に記載した者」でないときには、その日本人について、
国際結婚を契機にあたらしい戸籍が編纂されることとなり、その戸籍は、国際結婚をした日本人が筆頭者となります。
2 日本の市区町村役場に婚姻届(結婚届)を提出する理由
・日本で先に結婚手続きをする場合には、婚姻届を提出し市区町村役場に受理されることによって結婚が成立します。
また、市区町村役場に受理されることにより、日本人の戸籍謄本に配偶者欄が設けられ、婚姻の法的な確認ができるようになります。
このケースにおける婚姻届は「報告的届出」とよばれます。
・外国で先に結婚手続きをした場合には、すでに婚姻は成立しています。しかしながら、日本政府にその旨を届け出ないと日本政府は結婚が成立したことを関知できません。
そこで、外国で結婚が成立したことを、日本の市区町村役場に婚姻届を提出することにより報告することとなります。このケースにおける婚姻届は「報告的届出」とよばれます。
・外国で先に結婚をする手続きや、日本で先に結婚をしたことを外国政府に届け出る手続きは、日本の法律ではなく外国の法律の定めによりますので、国ごとの検討が必要です。各国別の記事をご確認ください。
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3 国際結婚の婚姻届の書き方
・婚姻届は鉛筆や消えやすいインクのペンで書くことはできません。
・婚姻届の誤字の訂正は修正ペンではなく、二重線でおこないましょう。
・氏名欄は、中国・韓国のような漢字使用国を除いて、カタカナで記載します。
・外国人の氏名のカタカナ表記は、母国での発音に近い表記を選びましょう。
・住所欄は、住民票のとおりに記載します。外国人が中長期在留者でない(在留カードをもっていない)場合は、国名のみを記載します。
・外国人の本籍欄は、国名のみを記載します。
・外国人の父母の氏名は、氏・名の順に記載し、氏と名のあいだに「、」を打ちます。
・日本人の父母が婚姻中であるときは、母の氏は記載せず、名のみを記載します。
・婚姻後の夫婦の氏欄は、夫の氏・妻の氏どちらにもチェックをせず空欄のままとします。この欄は国際結婚の場合は関係がありません。
・今回の結婚で日本人のためにあらたに戸籍が編製されるとき(初婚であるときなど)は、新しい本籍を記入します。
・署名押印欄について、外国人については原則として署名のみで足ります(押印は不要)。
・中国人・台湾人・韓国人などの漢字使用国の国籍者については押印するのが望ましいとされていますので、印鑑をお持ちであれば押印します。
・証人欄は、日本で先に結婚するときに記載します。すでに外国で結婚しているときは不要です。
・証人は成人であれば日本人でも外国人でも構いません。日本の成人年齢は2022年4月に20歳から18歳に引き下げられます。
4 国際結婚の婚姻届の証人について
日本で先に結婚をするときは、その結婚の方式は日本の法律によることとなるため、日本民法第739条第2項の定めるところにより、成人の証人が必要です。
いっぽう外国で先に結婚をしたときは、婚姻はすでに外国の法律にしたがって成立しています(ただし日本への報告は必要です。)ので、証人は不要です。
・外国で先に結婚をした場合は、証人欄に記入は不要です。日本で先に結婚をするときのみに記載します。
・外国で先に結婚をした場合で誤って証人欄に記入をしてしまった場合は、記入枠全体に×を記入し、×の交点に押印します。
・外国人が証人となる場合は、婚姻届は日本語で記入する必要があるため、住所欄などは届出人が記載しても差し支えありません。
・外国人が証人となる場合は、署名は必ず外国人本人がおこなう必要があります。
・外国人が証人となる場合は、外国人の署名上部余白に、届出人がその外国人証人の名前をカタカナで氏・名の順に記載します。
・外国人が証人となる場合は、原則として押印は不要ですが、中国・台湾・韓国などの漢字使用国で印鑑をお持ちのかたは押印することが望ましいとされています。
5 国際結婚の婚姻届の必要書類について
(日本先行の婚姻届)
・婚姻届
※成人の証人2名の署名押印のあるもの)
・外国人の婚姻要件具備証明書および日本語訳
※婚姻要件具備証明書は外国文書ですので、アポスティーユなどの適切な認証を受けていることが必要です。
・外国人の出生証明書および日本語訳
※婚姻要件具備証明書の記載内容により、省略できる国があります。
・外国人の国籍証明書および日本語訳
※パスポート原本で代替できます。パスポート写しの場合は、公証などの適切な認証を受けていることが必要です。
・日本人の印鑑 ※シャチハタ不可
・届出人の本人確認書類(パスポート、運転免許証、在留カード)
・戸籍謄本
※日本人の本籍が婚姻届を提出する市区町村にない場合のみ必要です。
(外国先行の婚姻届)
外国で先に婚姻を成立させたとしても、日本政府にその旨を届出をしないと、戸籍上独身のままとなります。
・婚姻届
※証人欄は空欄でよい
・外国の結婚証明書(原本)および日本語訳
※結婚証明書は外国文書ですので、アポスティーユなどの適切な認証を受けていることが必要です。
・外国人の出生証明書および日本語訳
※結婚証明書の記載内容により、省略できる国があります。
・外国人の国籍証明書および日本語訳
※結婚証明書の記載内容により、省略できる国があります。
・日本人の印鑑 ※シャチハタ不可
・届出人の本人確認書類(パスポート、運転免許証、在留カード)
・戸籍謄本
※日本人の本籍が婚姻届を提出する市区町村にない場合のみ必要です。
行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)
東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。執筆サイト:配偶者ビザ
国際結婚と配偶者ビザ