更新:2021年1月27日
行政書士 佐久間毅
この記事では、フィリピン人と日本人が国際結婚をするときに必要となる婚姻要件具備証明書の取得方法についてわかりやすく解説します。
日本で先に結婚手続きをするときにはフィリピン人が婚姻要件具備証明書を取得し、フィリピンで先に結婚手続きをするときには日本人が婚姻要件具備証明書を取得します。
婚姻要件具備証明書とは、A国人とB国人とがA国で結婚をするときに、B国政府がB国の法律にのっとり、B国人が結婚することができることを証明するために発行する書面です。
A国政府はB国の法律で定められた婚姻要件をリアルタイムで把握していませんし、仮に把握していてもB国人の個人情報を把握していないことから必要となる書類です。
簡単に言えば、B国政府がA国政府に対して、B国人が結婚できる状況にあることを伝達する書面といえます。
婚姻要件具備証明書はその名のとおり、法律が要求する結婚するための要件(=婚姻要件)をすべて満たしている(=具備)していることを証明してくれますが、国によって呼び名が異なり、また、そもそも婚姻要件具備証明書を発行してくれない国もあります。
◆国により異なる婚姻要件具備証明書の呼び名
Certificate of no impediment to marriage ・・・オーストラリア
Certificate of legal capacity to contract marriage・・・フィリピン
Certificate of freedom to marry ・・・アイルランド
A国で先行して国際結婚をするときにはB国人の婚姻要件具備証明書が必要となり、B国で先行して国際結婚をするときにはA国人の婚姻要件具備証明書が必要となるのが通常ですが、
なかには自国(A国)の婚姻要件具備証明書を発行するための必要書類として、結婚相手の婚姻要件具備証明書(B国)を要求する国もあり、このような国の人と国際結婚をするときには、結局のところ、A国人とB国人双方の婚姻要件具備証明書を取得しなければ国際結婚が成立しません。
日本先行で結婚するためにフィリピン人に婚姻要件具備証明書が必要な場合には、在日フィリピン大使館で取得することができます。
なお、フィリピン法におけるフィリピン人の結婚要件はつぎのリンク先のページで確認できます。
〇よく一緒に読まれている記事
・フィリピンの結婚要件・婚姻要件
◆駐日フィリピン大使館・領事館で「婚姻要件具備証明書(LCCM)」を取得する方法
【必要書類(フィリピン人が初婚の場合)】
■フィリピン人
・記入済み申請用紙
・有効なパスポート(原本提示+データページのコピー1部)
・在留カードまたは日本での在留資格がわかるもの(原本提示+データページのコピー1部)
・フィリピン外務省認証済みPSA発行の出生証明書 (原本+コピー1部)
・フィリピン外務省認証済みPSA発行の独身証明書(CENOMAR)(原本+コピー1部)
・パスポートサイズの証明写真 (3枚)
・18歳以上20歳以下の場合 – 両親の同意書
・21歳以上25歳以下の場合 – 両親の承諾書
■日本人
・戸籍謄本*3ヶ月以内に発行されたもの (原本1通+コピー1部)
・改正原戸籍または除籍謄本 ※上記戸籍謄本に前配偶者との婚姻、離婚、死別の記載が無い場合
・有効なパスポートまた公的な写真付き身分証明書 (原本提示+データページのコピー1部)
・パスポート用サイズの証明写真 3枚
【注意事項】
・婚姻要件具備証明書は、現在、日本国内に住み、日本人との婚姻を希望するフィリピン人の方のみに発行されます。
・窓口または郵送による申請が可能です。両人が揃って窓口に出頭できない場合、または郵送による申請を行う場合は、申請用紙を日本の公証役場にて公証する必要があります。
〇参照:駐日フィリピン大使館ホームページ
フィリピン先行で結婚するために日本人に婚姻要件具備証明書が必要な場合には、日本国内の法務局または在フィリピン日本国大使館・総領事館で取得することができます。
◆法務局で婚姻要件具備証明書を取得する方法
【必要書類】
・日本人の戸籍謄本又は抄本(なるべく新しいもの) 1通
・日本人のパスポート又は運転免許証等の身分証明書
〇参照:東京法務局ホームページ
◆在フィリピン日本国大使館・総領事館で「婚姻要件具備証明書」を取得する方法
日本の法務局で取得しなくても、フィリピンにある日本国大使館・総領事館で日本人の婚姻要件具備証明書を取得することができます。
【必要書類】
(日本人)
・パスポート
・戸籍謄本:1通(発行から3か月以内のもの)
・申請書
(フィリピン人)
・出生証明書謄本(Birth Certificate) ※フィリピン統計局(PSA)もしくは市役所発行のもの
・未成年者の場合は,両親等法定代理人の婚姻同意書
【所要日数】
マニラ: 2日間(申請の翌開館日に交付:但し,申請が午後の場合,交付は翌日午後となります。)
セ ブ:2日間(申請の翌開館日に交付:但し,申請が午後の場合,交付は翌日午後となります。)
ダバオ:2日間(申請の翌開館日に交付)
【申請者及び受領者】
・ 申請者:本人のみ
・交付者:本人のみ
行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)
東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。執筆サイト:配偶者ビザ
国際結婚と配偶者ビザ