更新:2021年2月2日
行政書士 佐久間毅
日本人とご結婚されたフィリピン人のお相手による日本の配偶者ビザの申請方法の1つ目は、
海外にいるフィリピン人のお相手を日本在住の日本人が呼び寄せるケースで、入管法という法律が予定する最もオーソドックスな方法です。
この申請方法のポイント
配偶者ビザの条件(⇒こちら)をまず確認していただいた上で、他の申請ルートに比べ下記の点を特にご注意ください。
1)海外から呼び寄せるケースでは、これまでフィリピンと日本と別々の国で暮らされていたことから、夫婦の双方がそれぞれ職に就いて独立に生計をたてていたケースが多く、配偶者ビザの条件である「収入の継続性・安定性・額の3点」を立証するにあたって、日本人側に十分な収入を証明する証拠があるケースが多いです。
2)逆にいえば、収入の継続性・安定性・額の立証に難がある方はちょっと慎重に準備を進めましょう。
3)すでに就労や留学などで日本にくらしているフィリピン人と交際され結婚に至ったケースと比較して、国をまたいだ遠距離恋愛であるケースが多く、対面での交際歴が少ない傾向にあります。
特に年齢差が大きい場合には配偶者ビザ申請において強くマイナスに働きますので慎重な申請が必要です。
この場合には、配偶者ビザの条件である「婚姻の真実性」の証明に力点をおいて証明しましょう。
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海外からフィリピン人のお相手を呼び寄せるファーストステップは、日本人がフィリピン人のお相手のために日本の出入国在留管理局に在留資格認定証明書の交付を申請するところからはじまります。
在留資格認定証明書とは、日本に上陸しようとするフィリピン人が、日本において行おうとする活動が上陸のための条件(在留資格該当性)に適合しているかについて法務大臣があらかじめ審査を行ない、この条件に適合していると認めるときに交付する証明書です。
申請後、東京出入国在留管理局の場合は2か月前後で結果がでます。
在留資格認定証明書が不許可になった場合は、翌日にでも再申請をすることができますが、不許可になった理由を解決しないと何度申請しても同じ結果を得ることになります。一度不許可になってしまうとその結果は法務大臣の名前で出されますので、その後、その結果をひっくり返すことは大変です。
また、一度不許可になってしまうと夫婦間の関係もギクシャクしがちですので、余計なトラブルを抱え込まないためにも、初回から油断をしないようにしましょう。
よくあるミスは、みんなに共通で求められる書面だけを漫然と集めて入国管理局に提出してしまうというものです。それでも、何も弱点がないカップルの場合はちゃんと許可が下りますが、収入の継続性、安定性、額のいずれかや、年齢差や対面での交際が短い場合などはあっけなく不許可にされますのでご注意ください。
最近はNHKなどで入管を取り上げたドキュメンタリーなどが放映されてだいぶ周知されているとは思いますが、入管はときに人権侵害ではと思われるような判断をやってのけるシビアな組織ですので、甘い期待は捨てたほうがよいです。
なお、フィリピン先行で結婚されたときはもちろんのこと、日本先行で結婚をされたときもフィリピン政府PSAに結婚を登録することができますし、しなければなりません。このとき、PSAから発行される結婚証明書はフィリピン先行で結婚したときは「Certificate of Marriage」、日本先行で結婚をしたときは「Report of Marriage」となります。
【申請先】出入国在留管理局 ※各都道府県に少なくとも本局、支局、出張所のいずれか1か所あります。
【必要書類】
(みんなに共通の書類)
・在留資格認定証明書交付申請書
・戸籍謄本
・フィリピンの結婚証明書 ※フィリピン政府PSAから発行されたもの。アポスティーユ付き。
・住民票
・課税証明書・納税証明書
・身元保証書
・質問書
(弱点をカバーする書類)
・弱点にあわせて適宜
【許可条件】
・婚姻の真実性が立証されること
・収入の継続性・安定性・額に問題がないことが立証されること
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在留資格認定証明書が無事に交付されたら、その在留資格認定証明書をEMSなどでフィリピンに郵送します。
お相手のフィリピン人がそれを受け取ったら、その在留資格認定証明書をもちいて、お相手が日本の在外公館で査証申請をします。
査証とは、申請人であるフィリピン人の日本への入国と在留が、査証に記載された条件下において適当であることを、日本の在外公館の領事官等が当人のパスポート上に裏書した証明のことをいい、日本への入国推薦状の意味をもつもののことをいいます。
といっても、フィリピンの場合は代理申請機関というものが設けられておりそこで申請しますので、日本大使館や日本総領事館の建物に直接出向くわけではありません。
これは申請者がとても多くいらっしゃるので、大使館や総領事館がそれらの方々でごった返してしまう事態を避けるための措置です。
代理申請機関はとてもたくさんありますので、混雑緩和によい方法と言えるでしょう。
査証が発給されると、日本に入国するために必要不可欠な推薦状を手に入れたことになります。
査証の発給が拒否されたときには、同一目的の申請は、6か月後でなければすることができません。
査証申請手順1:在フィリピン日本国大使館と総領事館の「管轄」を調べる
まずは、フィリピン人の居住地に対応する日本国大使館、総領事館がどこなのかを判定します。管轄外のところへは申請できません。
【管轄】
ルソン地方(北イロコス州,南イロコス州,アブラ州,マウンテン州,ラ・ウニョン州,ベンゲット州,バンガシナン州,バタネス州,アバヤオ州,カガヤン州,イサベラ州,イフガオ州,ヌエヴァ・ヴィスカヤ州,キリノ州,サンバレス州,タルラック州,ヌエヴァ・エジハ州,パンパンガ州,バターン州,ブラカン州,アウロラ州,リサール州,カヴィテ州,ラグナ州,バタンガス州,ケソン州,オクシデンタル・ミンドロ州,オリエンタル・ミンドロ州,マリンドゥク州,ロンブロン州,パラワン州,北カマリネス州,南カマリネス州,カタンドゥアネス州,アルバイ州,ソルソゴン州,マスバテ州,カリンガ州
【管轄】
ミンダナオ地方(北サンボアンガ州,南サンボアンガ州、サンボアンガ・シブガイ州、ブキドノン州、カミギン州、北ラナオ州、西ミサミス州、東ミサミス州、コンポステラ・バレー州、北ダバオ州、南ダバオ州、東ダバオ州、西ダバオ州、コタバト州、サランガニ州、南コタバト州、スルタン・クダラット州、北アグサン州、南アグサン州、ディナガット・アイランズ州、北スリガオ州、南スリガオ州、南ラナオ州、マギンダナオ州、バシラン州、スールー州、タウィタウィ州)
【管轄】
ビサヤ地方(アンティーケ州,アクラン州,カピス州,イロイロ州,ネグロス・オクシデンタル州,ネグロス・オリエンタル州,セブ州,ボホール州,シキホル州,北サマレ州,サマル州,東サマル州,レイテ州,南レイテ州,ギマラス州,ビリラン州)
査証申請手順2:書類をそろえる
査証申請に必要な書類を集めます。
査証の審査では、主としてお相手のフィリピン国内での犯罪歴が調査されるほか、相手国との外交的な考慮もなされます。
日本と相手国との外交上の信頼関係は査証免除国であるか否かに現れています。
在留資格認定証明書がある場合の大半は査証も発給されますが、日本大使館や日本領事館が把握する犯罪歴などがあれば発給されないこともありますし、日本はフィリピンを査証免許国に指定していませんので、入管への在留資格認定証明書交付申請ほどではないにせよ、慎重に申請しましょう。
査証が発給されなければ、日本に入国することはできません。
【必要書類】
・査証申請書(写真貼付 縦4.5cm×横4.5cm、背景は白、1枚)
・旅券
・在留資格認定証明書(原本)及びその写し
・出生証明書 ※PSA発行のもの
・結婚証明書 ※PSA発行のもの
・その他指示されたもの
査証申請手順3:代理申請機関を確認し、査証を申請する
査証の申請は、管轄の日本大使館や日本領事館に対応する代理申請機関で行ないます。代理申請機関はつぎのリストから選びましょう。
日本に上陸しようとするフィリピン人を含む外国人は、出入国港において、入国審査官による上陸審査をうけます。
上陸が認められるための条件はつぎの5つです。
① 有効な旅券及び日本国領事官等が発給した有効な査証を所持していること
② 申請に係る活動(我が国で行おうとする活動)が偽りのものでないこと
③ 我が国で行おうとする活動が,入管法に定める在留資格のいずれかに該当すること
④ 滞在予定期間が,在留期間を定めた施行規則の規定に適合すること
⑤ 入管法第5条に定める上陸拒否事由に該当しないこと
許可された場合は、新千歳空港、成田空港、羽田空港、中部空港、関西空港、広島空港、福岡空港においては、パスポートに上陸許可の証印がされるとともに、上陸許可により「日本人の配偶者等」の在留資格を取得した方は、空港で「在留カード」の交付を受けます。
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・ フィリピン人による配偶者ビザ申請②:夫婦ともにフィリピンなど海外在住であるケース
・ フィリピン人による配偶者ビザ申請③:フィリピン人が日本で自ら申請し、出国して結果を待つケース
・ フィリピン人による配偶者ビザ申請④:中長期の在留資格から変更するケース
・ フィリピン人による配偶者ビザ申請⑤:短期の在留資格から変更するケース
・ フィリピン人による配偶者ビザ申請⑥:前婚の日本人と離婚して、別の日本人と結婚するケース
行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)
東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。執筆サイト:配偶者ビザ
国際結婚と配偶者ビザ