【登録支援機関】が業務運営上作成し備えつけなければならない帳票・帳簿について【特定技能】

更新日時:2020年6月21日

行政書士 佐久間毅

登録支援機関

1.登録支援機関の関心は、当初の「登録」から「運営(業務遂行)」へ移行

 

2019年10月3日現在、特定技能外国人のサポートを目的とした「登録支援機関」として登録された会社・個人は2530件にのぼります。4月の制度開始以降、日本最大級の特定技能ビザサイトを運営する東京のアルファサポート行政書士事務所には多くの登録に関するご相談・ご依頼がよせられましたが、半年あまりが経過して、皆様の関心が登録からじっさいの運営に向いてきていることを実感します。

 

弊社の顧問先登録支援機関のご担当者からも、運営面に関するご相談が本格化してきました。

顧問先の登録機関のなかには昔からお付き合いのある技能実習監理団体さん(いわゆる事業協同組合)もありますが、顧問先の圧倒的大多数はこの特定技能の制度が始まってからはじめて外国人支援に取り組む人材紹介業建設業などの企業さんです。

 

登録支援機関のじっさいの運営は、技能実習制度における「監理団体」を兼業されている事業協同組合さんですと、蓄積された技能実習関連のノウハウを応用することで十分にこなせるのですが、技能実習の監理団体以外の一般企業や個人のかたが特定技能制度をきっかけにして外国人支援に新規参入をされているケースにおいては、登録支援機関の登録を完了はさせたものの、どのように業務遂行してよいのか手探り状態で戸惑いを感じられるかたも多いようです。

 

外国人サポートが特に難しいのは、世の中は決して善人だけで構成されているわけではなく、うっかりすると犯罪に巻き込まれてしまう点にあります。私も新卒後入社した金融機関をかわぎりにいくつかの業界を見てきましたが、普通のビジネスで、これほどまでに犯罪と隣り合わせの世界はあまりないのではないかと思います。ビザ申請を専門とする行政書士は、常に犯罪に巻き込まれないよう注意しながら業務にあたっていますが、ノウハウのない方が安易にこの業務に乗り出すと、犯罪の踏み台(=共犯)にされてしまうことを肝に銘じてください。

 

本稿では最近顧問先からご相談をいただく、登録支援機関が作成し、備え付けなければならない帳票類についてみていきたいと思います。

 

2.登録支援機関が義務付けられている外国人支援状況に関する帳票類の作成・保存

登録支援機関は、特定技能外国人の支援状況に関する帳票類を作成・保存しなければなりません。

 

2-1 法令の根拠

入管法施行規則で次のように定められています。

 

登録支援機関は、支援業務の実施状況に係る文書を作成し、当該支援業務を行う事務所に当該支援業務に係る支援の対象である特定技能外国人が締結した特定技能雇用契約の終了の日から1年以上備えて置くこととしなければならない。

 

保存期間は、特定技能雇用契約の終了日から1年です。

 

2-2 具体的な帳簿・帳票類

 

支援状況に関する帳簿書類」とは次のものをいいます。それぞれの帳簿書類は「少なくとも」以下の項目を含まなければなりません。

 

登録支援機関の帳簿類【1】:支援実施体制に関する管理簿

【項目】

a 登録支援機関の氏名又は名称,所在地,代表者氏名,法人番号,役員の氏名, 役職及び住所

b 支援を行う事務所の名称,所在地及び連絡先   

c 職員数(常勤・非常勤職員数の内訳)

d 支援実績(各月における支援人数,行方不明者数)

e 支援責任者の身分事項,住所,役職及び経歴(履歴書及び就任承諾書) 

f 支援担当者の身分事項,住所,役職及び経歴(履歴書及び就任承諾書)

g 対応可能な言語及び同言語による相談担当者に関する事項(委託契約書, 通訳人名簿)

 

登録支援機関の帳簿類【2】:支援の委託契約に関する管理簿

【項目】

a 受託した支援業務に関する事項(委託契約書)

 

b 支援経費の収支に関する事項(支援委託費含む。)

 

登録支援機関の帳簿類【3】:支援対象者に関する管理簿

【項目】

a 1号特定技能外国人の氏名,生年月日,国籍・地域,性別及び在留カード番号 

b 雇用する特定技能所属機関の氏名又は名称  

c 1号特定技能外国人支援計画の内容(支援計画書) 

d 支援の開始日

e 支援の終了日(支援を終了した理由を含む。)

 

登録支援機関の帳簿類【4】:支援の実施に関する管理簿

【項目】

a 事前ガイダンスに関する事項 

( a )1号特定技能外国人の氏名,生年月日、国籍・地域、性別及び在留カード番号

( b )実施日時及び実施場所

( c )実施内容(情報提供内容)

( d )実施方法

( e )実施担当者(通訳人を含む。)の氏名及び役職

 

b 出入国時の送迎に関する事項

( a ) 1号特定技能外国人の氏名,生年月日,国籍・地域,性別及び在留カード番

( b )出迎え日(上陸日)及び見送り日(出国日)

( c )実施担当者の氏名及び役職

 

c 住宅の確保等その他生活に必要な契約に係る支援に関する事項

( a ) 1号特定技能外国人の氏名,生年月日,国籍・地域,性別及び在留カード番

( b )確保した住宅に関する事項(住所,住宅の形態(賃貸,社宅等)及び家賃

( c )実施担当者の氏名及び役職

 

d 在留中の生活オリエンテーションに関する事項

( a ) 1号特定技能外国人の氏名,生年月日,国籍・地域,性別及び在留カード番

( b )実施日時及び実施場所

( c )実施内容(情報提供内容)

( d )実施方法

( e )実施担当者(通訳人及び法的保護に関する情報提供の実施者含む。)の氏名及び役職

 

e 関係機関への同行等支援に関する事項

( a ) 1号特定技能外国人の氏名,生年月日, 国籍・地域,性別及び在留カード番号

( b )実施日時及び実施場所

( c )実施内容

( d )実施方法

( e )実施担当者の氏名及び役職

 

f 日本語を学習する機会の提供に関する事項

( a ) 1号特定技能外国人の氏名,生年月日,国籍・地域,性別及び在留カード番号

( b )実施内容(情報提供内容)

( c )実施方法

( d )実施担当者(委託先の講師を含む。)の氏名及び役職

 

g 相談・苦情対応に関する事項

( a ) 1号特定技能外国人の氏名,生年月日,国籍・地域,性別及び在留カード番号

( b )相談日時

( c )相談内容及び対応内容(面談記録,対応記録)

( d )実施担当者(通訳人を含む。)の氏名及び役職

 

h 日本人との交流促進に関する管理簿

( a ) 1号特定技能外国人の氏名,生年月日,国籍・地域,性別及び在留カード番号

( b )実施日時及び実施場所

( c )実施方法(促進した事項)

( d )実施担当者の氏名及び役職

 

i 非自発的離職時の転職支援に関する事項

( a ) 1号特定技能外国人の氏名,生年月日,国籍・地域,性別及び在留カード番号

( b )転職相談日時及び実施場所

( c )相談内容及び対応内容(面談記録,対応記録)

( d )転職先候補企業の名称,所在地及び連絡先

( e )実施担当者(通訳人を含む。)の氏名及び役職

 

j 定期的な面談の実施に関する事項

( a ) 1号特定技能外国人の氏名,生年月日,国籍・地域,性別及び在留カード番号

( b )面談日時

( c )面談内容及び対応内容(面談記録,対応記録)

( d )支援責任者及び支援担当者(通訳人を含む。)の氏名及び役職

 

3.登録支援機関の運営サポート顧問サービス

 

ある種のサブスクリプションビジネスモデルであることが今風であることも手伝って制度開始から約半年で2530もの登録支援機関が誕生し、当初のブルーオーシャンがあっというまにレッドオーシャン化し競争原理がもちこまれています。

弊社の顧問先である登録支援機関においては当初最も気を使って取り組んでいたのがプライシングでした。その後も手探り状態でサービス構築がすすんでいますが、登録支援機関は登録の取り消しもありますので、帳簿類の作成・備え付けといったコンプライアンス面は、徹底しなければなりません。

 

東京のアルファサポート行政書士事務所は、日本最大級の特定技能ビザサイトを運営し、関東地方を中心に多くの登録支援機関様とネットワークを構築しています。弊社の顧問先にはお付き合いの長い技能実習の事業協同組合さんもいらっしゃいますので、弊社に蓄積された外国人支援のノウハウを御社に移転することができます。

 

登録支援機関となられた企業・個人の方は、きっと外国人との距離が近いかただと思いますが、外国人支援業務は、率直に言って常に犯罪と隣り合わせの危険な業務でもあります。外国人から偽造書類がもちこまれそれに気づかずビザ申請をしてしまい虚偽申請という犯罪の共犯とされてしまったり、労働法を守らず外国人を酷使する採用企業との対峙など性善説のみで行動していると足元をすくわれてしまうでしょう。

 

アルファサポート行政書士事務所の顧問料は、御社業務への関与に必要な時間数に応じてお見積りさせていただいております。月額3万円の会社さまから20万円の会社様まで幅がありますので、ご興味がある登録支援機関様は下記のフォームよりまずはお問い合わせください。

 

■この記事を書いた人

行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)

東京都出身。慶應義塾志木高等学校慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。


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