更新日時:2021年3月9日
行政書士 佐久間毅
日本の配偶者ビザ申請において日本人が無職というのはかなりレアケースなので、かんたんには許可されません。
配偶者ビザの3要件である収入の継続性、収入の安定性、収入の額のすべてを欠いているのが「無職」という状態なので、かんたんではないことはご理解いただけるはずです。
しかしケースバイケースであり、同じ無職であっても配偶者ビザが許可される人もいれば不許可になる人もいます。
この記事では、日本有数レベルで配偶者ビザ申請をお手伝いしている東京・六本木のアルファサポート行政書士事務所が、
配偶者ビザ申請において日本人や外国人が無職の場合に理由書などをどのように対応したらよいのかわかりやすく解説します。
なお、日本人配偶者とは外国人とご結婚された日本人を、外国人配偶者とは日本人とご結婚された外国人をいうものとします。
順を追ってみていきましょう。
国際カップルが日本で出会ったケースの場合、お相手の外国人配偶者が就労ビザで日本に滞在し働かれていることも多いです。
このようなときには、日本人が無職であっても配偶者ビザが許可される可能性は十分にあります。
なぜなら、配偶者ビザにおける独立生計要件は、夫婦単位でクリアしていればよく、日本人が専業主婦や主夫であっても、外国人配偶者にしっかりした稼ぎがあるのであれば、それを立証することで何らの問題も生じないからです。
また就労ビザは、日本で働くことを日本政府が正面から認めているわけですから、働いていることについてとやかく言われることは無く、むしろ働いていないと問題が生じるわけです。
ただし気を付けなければならないことは、就労ビザを取得した後に転職したケースです。
A社に就職するとして就労ビザを取得けれども、その後B社に転職したりフリーランスとして独立した場合などは、B社やフリーランスで働くことが就労ビザの要件をみたしていないことがよくあります。
そうなると外形上は就労ビザで仕事をしているようにみえるが、実際には「不法就労」状態になっているので事態は深刻です。
しかし転職や独立をしていない場合は、A社における職種やそこから支払われる給料が就労ビザの要件を満たしていたからこそ就労ビザが交付されたはずなので、法律で許されていない資格外活動をしていない限りは大きな心配はないはずです。
したがって日本人配偶者が無職でも外国人配偶者が就労ビザで働いているときには、この外国人配偶者について、
収入の継続性、収入の安定性、収入の額が条件を満たしているか検討し、理由書をもちいて1つずつ立証すれば足ります。
配偶者ビザの条件と立証については別記事でくわしく解説していますので、そちらをご参照ください。
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上述の1と似て非なるケースが、外国人配偶者が日本で働いているけれども、就労ビザをお持ちでないケースです。
たとえば難民ビザと呼ばれる特定活動ビザをお持ちのかたや、留学生が資格外活動許可を得てアルバイトをしているケースです。
まず難民ビザと呼ばれる特定活動ビザをお持ちの方は、「指定書」で就労が認められていることが多いですが、難民申請中というステータスがそもそも不安定であるため、就労ビザをもって日本政府から正面から就労を認められている他の外国人配偶者とはまったく状況が異なります。
この場合は、たとえ外国人配偶者に夫婦を養うことができるだけの収入があっても、難民申請の経緯等に疑義があれば別の観点から配偶者ビザが不許可になります。
難民申請中の特定活動ビザから配偶者ビザへの変更はハードルがとても高いので、別記事で詳細をご確認ください。
また留学生は、週28時間までは働くことができますが、アルバイトですから収入の安定性の立証に困難が生じ、また、収入の額も夫婦が生活するに十分な額であることはまれのはずです。
夫婦が生活ことができるだけの収入を留学生がアルバイトだけで稼いでいるとなると、むしろ不法就労(週28時間を超えた就労)を疑われる要因にもなりかねません。
このようなことから、日本人配偶者が無職で外国人配偶者が働いているケースでも、就労ビザとそれ以外とでは申請や理由書で力をいれるべきポイントが異なりますので注意しましょう。
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➤ 配偶者ビザの条件
若いご夫婦が無職である場合、夫婦のどちらか若しくは両方が就職をしてから配偶者ビザ申請をするのがセオリーですが、もう十分に働いて定年になり、リタイアされたご夫婦はどうすればよいのでしょうか。
このようなケースは日本でリタイア後の生活をおくるために来日されるのですから、いまさら日本で働く意思も必要性もないわけです。
十分な金融資産と年金があるのに、配偶者ビザ申請のためだけに働く必要はもちろんありません。
働かなければ生きていけないのに無職というのと、働く必要がないから無職というのでは、状況が180度ことなります。
このような場合にこそ、収入の3要件(継続性・安定性・額)を満たしていないけれども配偶者ビザが許可されるべき案件として、理由書が大いに力を発揮してくれます。
個々人の事情はそれぞれですので理由書のサンプルでは対応できません。東京・六本木のアルファサポート行政書士事務所にご相談ください。
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➤ 配偶者ビザの条件
弊社は日本有数のレベルで配偶者ビザ申請をお手伝いしているため、なかにはご自分で申請をされて不許可になった案件も多く持ち込まれますが、無職のまま強行突破のように申請をされて不許可になったというケースもとても多いです。
海外から帰国したばかりである、妊娠中である、手に職がない、不況である、保育園がみつからない、病気であるなど無職である理由は皆さまそれぞれなのですが、いずれにせよ生活費はかかるわけなので、それをどのように夫婦が工面していくのか、第三者にわかってもらう必要があります。しかもそれはこうしたいけど実際にはどうなるか分かりませんという願望や希望を述べるレベルではマズイわけで、第三者としての入管がたしかにそうなるはずだというレベルでの確信を持てなければ配偶者ビザは許可されません。
この場合の理由書では、配偶者ビザの要件をひとつひとつ挙げながら、なぜその条件を満たしているといえるのか、証拠をあげながら立証していきます。
したがって配偶者ビザの条件の把握は必須であり、個々人の事情はそれぞれですのでサンプルでの対応は難しいでしょう。
サンプルにあなたの事情を無理やりあてはめて立証に失敗するのではなく、あなたの事情にきちんと即した理由書を作成して、配偶者ビザを勝ち取りましょう!
立証については別記事をご用意していますので、そちらをご確認ください。
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行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)
東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。執筆サイト:配偶者ビザ
国際結婚と配偶者ビザ