ホテル・旅館業の【外国人雇用・採用】~2019年に2つの制度改正

外国人雇用・採用 ホテル・旅館業
監修・アルファサポート行政書士事務所

0.はじめに

外国人雇用
雇用主

 

ホテルや旅館での外国人雇用が2019年の制度改正で大きく変わったらしいですね?

 


外国人雇用
ひよこ先生

そうそう。今までは不可能だった、清掃や配膳や調理補助の仕事がまず外国人に開放され、さらにドアマンや接客の仕事まで外国人が担当できるようになったよ。


ホテル・旅館の外国人雇用

ホテル・旅館業の外国人雇用:2019年3月まで

外国人雇用
雇用主

上の図で、2019年3月までの状況は一番右の欄ですね?


外国人雇用
ひよこ先生

うん。2019年3月までは✖印がついている職種があるよね。ようするにその職種では、外国人は働くことができなかったんだよ。


 

【解説】

 

2019年3月までは、ホテル・旅館での外国人採用は、専門職的な仕事でのみ可能であり、単純労働に該当する仕事は一切任せられないというのが原則でした(留学生のアルバイトや、就労に制限のない永住者などの外国人は除く)。ホテル・旅館にかぎらず、日本は政策として、単純労働は外国人に開放しない建前をとっていたからです。

 

このような建前のもとでも、たとえば建設業界や製造業などでは、技能実習生を多く受入れて実質的な労働者として利用してきましたが、ホテルや旅館などのいわゆる宿泊業は技能実習制度の対象でなかったために、原則どおり一切の受け入れができなかったのです。

 

このため、ホテルや旅館などの宿泊業で外国人を雇おうとすると、マーケティングや営業などの仕事や、レストランの厨房で働く調理の仕事に限定されていました。アルファサポート行政書士事務所は東京都港区内にあるため、いくつかの外資系・日系ホテルとお付き合いがありますが、非常にご要望の多いご相談は、「ハウスキーピング(客室清掃やベッドメーキング)」に外国人を雇えないかというものでした。当時は(といってもまだあまり時間は経っていませんが)、これらの仕事を外国人に担っていただくためには、就労に制限のない永住者や日本人の配偶者等の外国人を雇うしかなかったのです。

 

グレーゾーンにあったのはフロントデスクの仕事です。入管実務では、フロントデスクの仕事は単純労働とみなされていないため、ホワイトカラーのための就労ビザである在留資格「技術・人文知識・国際業務」が許可されうる職種です。しかしながら実際には、外国人の利用が多く、かつ、客室の多いホテルや旅館でないと、「フロントとしての仕事量がフルタイムで人を雇うほど多くない」という理由で、就労ビザが許可されないことが多くありました。何が懸念されていたかというと、1日8時間の勤務のうち、3時間をフロントの仕事にあてるのであれば、残り5時間は客室清掃や配膳などの本来就労ビザではやってはいけない仕事をするのではないかという点だったわけです。

 

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ホテル・旅館業の外国人雇用:2019年4月の制度改正

外国人雇用
雇用主

2019年4月に宿泊業界にかかわる大きな制度改正がありましたよね。


外国人雇用
ひよこ先生

うん。2019年4月から人手不足が深刻な14の業種に限って、外国人の単純労働が解禁されたんだ。ホテル・旅館といった宿泊業界はその14の業種に含まれることとなったから、ホテルや旅館でも外国人が単純労働をすることができるようになったんだよ。

 


 

【解説】

 

2019年4月に、人手不足が顕著な14の産業において、外国人による単純労働が解禁されました。就労ビザ「特定技能」の新設です。そしてこの14業種に「宿泊業」が含まれたため、ホテルや旅館で、外国人が単純労働を行うことができるようになりました。在留資格「特定技能」は、単純労働を正面から認める就労ビザであるため、ホテルや旅館内のハウスキーピング(客室・ロビーや大浴場の清掃など)や宴会場での配膳の仕事を外国人が行うことができます。また、料飲部門おける料理人の仕事はこれまで母国で10年以上のキャリアのあるベテランしか就くことができませんでしたが、2019年4月からは何のキャリアもないかたでも厨房に入り、調理補助や皿洗いなどもすることができます。

 

特定技能ビザを取得するためには、学歴は不問ですが、日本語能力検定試験N4以上の日本語力があることと、特定技能試験とよばれる宿泊業に特化した試験に合格する必要があります。

 


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2019年4月から、人手不足が深刻な14の業界において、外国人が就労することが可能になる予定です。この記事では、あらたしく作られる在留資格「特定技能」についてわかりやすく解説しています。

 

 



ホテル・旅館業の外国人雇用:2019年6月の制度改正

外国人雇用
雇用主

外国人との面接はどうやったらいいんでしょう?


外国人雇用
ひよこ先生

日本人の面接と同じこともあるし、外国人特有の確認事項もあるよ!


 

【解説】

 

2019年6月に、法務省の告示の改正が行われ、日本の大学を卒業又は日本の大学院を修了した学生のうち、日本語能力検定試験N1以上の日本語力を証明すれば、ホワイトカラーの就労ビザである在留資格「技術・人文知識・国際業務」とブルーカラーの就労ビザである在留資格「特定技能」がそれぞれ対象とする専門職と単純労働の「混合型」の職種でビザ(在留資格「特定活動」)が取れるようになりました。

 

注意点は2つあり、ひとつ目は対象者は「日本の」大学や大学院卒である必要があり、「外国の」大学や大学院卒は対象でないことと、2つ目は混合型と言ってもあくまでも「主(メイン)」は技術・人文知識・国際業務ビザが対象とする仕事をすることです。

 

2019年5月までは、在留資格「技術・人文知識・国際業務」を取得した外国人は、専門的な仕事しか行うことができず、勤務するホテル・旅館内の単純労働をすることが一切許されていませんでした。たとえば、手の空いた外国人担当のフロントがドアマンの仕事をしたり、日本人あいての接客を手伝うことはできませんでした。

 

また同様に、単純労働者として採用された特定技能ビザの外国人が、仕事の合間に、母国のインバウンド観光客を集客するマーケティングを手伝うことも許されませんでした。要するに、専門職として雇用されたならばそれ以外の仕事は一切できず、単純労働者として雇用されたのであれば専門職として働くことは一切できないという、非常に使い勝手の悪い制度でした。

 

ところが2019年6月の法務省告示の改正により、在留資格「特定活動」を取得すれば、専門職の仕事のかたわら手の空いた時間にそれ以外の「日本語能力を活用する幅広い仕事」もしてもよいことになったのです。これは日本の就労ビザの歴史においてとても画期的な出来事でした。

 

出入国在留管理局はガイドラインの中で、本制度の概要を次のように説明しています。「本制度は,本邦大学卒業者が本邦の公私の機関において,本邦の大学等において修得した広い知識,応用的能力等のほか,留学生としての経験を通じて得た高い日本語能力を活用することを要件として,幅広い業務に従事する活動を認めるものです。「技術・人文知識・国際業務」の在留資格においては,一般的なサービス業務や製造業務等が主たる活動となるものは認められませんが,本制度においては,上記諸要件が満たされれば,これらの活動も可能です。」

 

ガイドラインは具体的には、「ホテルや旅館において,翻訳業務を兼ねた外国語によるホームページの開設,更新作業を行うものや,外国人客への通訳(案内),他の外国人従業員への指導を兼ねたベルスタッフやドアマンとして接客を行うもの(それに併せて,日本人に対する接客を行うことを含む。)。※ 客室の清掃にのみ従事することは認められません。」としています。

 

要するにガイドラインは、メインとして技術・人文知識・国際業務ビザの対象職種をこなしながら、サブ的に日本語を使う日本人への接客など幅広い仕事をしてもよく、さらには客室の清掃もたまにはしてもよい(※の反対解釈)と言っています。

 

また、ガイドラインは飲食店について、「飲食店に採用され,店舗において外国人客に対する通訳を兼ねた接客業務を行うもの(それに併せて,日本人に対する接客を行うことを含む。)。※ 厨房での皿洗いや清掃にのみ従事することは認められません。」との具体例をあげています。

 

弊社がおつきあいのある東京都内のいくつかのホテルは料飲部門と宿泊部門とが完全に分かれている例が多いですが、中堅規模のホテル・旅館であれば、そのような区別はなく、1人の従業員が1人何役もこなす現状があるかと思います。そのような場合は外国人従業員が、インバウンド観光客へのマーケティングをメインで活動しながら、手が空いているときには日本語能力を活かしてフロントやレストランで日本人相手の接客をし、たまにであればロビーや客室の清掃を担当し、調理補助や皿洗いを手伝うことさえできるのです。

 

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